立ち上がり動作を「楽」にするためにみるべきポイント

リハビリ関連

今回は立ち上がり動作において動作分析をする際のポイントを紹介したいと思います。

 

なるべくわかりやすく、すぐ知識として使えるようにする為、あえて内容はかなり噛み砕いて説明しています。

ではどうぞ!

立ち上がり動作の相

まずは動作の相をおさらいしておきましょう。

立ち上がり動作は前屈相・前進相・進展相に分ける事ができます。

前屈相

前屈相は体幹を前に倒すことで、重心を前下方に移動させる時期です。

この時、骨盤・体幹が前傾し、股関節屈曲、膝関節もわずかに屈曲が増加、下腿は前傾します。

 

前進相

前進相では身体をさらに前に移動させて、足部に重心を移動させます。

この時、下腿の前傾がさらに増加します。

 

伸展相

伸展相は重心を上方に移動させる時期になります。

この時期に足関節・膝関節・股関節・体幹と順に伸展(足関節は底屈)していきます。

 

簡単に書くとこんな感じになっていますね。

ただこの時に中止なければならないのは、この動作を行なっている人は健常者でしかも成人であると言うことです。

 

正常動作に当てはめていないか?

動作分析をする上で重要なのは、「正常動作と違う=異常動作」ではないと言うことです。

 

そのように考えないと、

 

「腰の曲がったおじいちゃん、おばあちゃんはどおしたらいいの!?」

「片麻痺の患者さんで体幹前傾できないんですけどどぉすれば、、、。」

 

てことになってしまいます。

 

 

私が勤務している回復期の病院では、基本的に高齢者の方が多いです。

 

高齢者の方の場合は、主疾患以外にも様々な疾患を持っていたり、

 

 

「今回は右の大腿骨の骨折だけど、2年前に腰の手術をしてるんですよ」

 

 

なんて状態の人は当たり前にいます。

 

むしろ

 

「今回が初めての手術で今まで怪我なんてしたことなんてありません!キリ!」

 

と言う人の方が少ないんじゃないでしょうか。

 

正常動作を覚えることは意味がないのか?

正常動作を覚えておくことは決して意味のないことではないのですが、動作そのものがなぜその動きになるのかを考えておかなければ、アプローチまで考える事ができません。

 

動きを行う上で考えるべき前提条件は、

  • 人の動きに関わらず、地球上にある物質の運動は重力が加わっている。
  • 加えてその物質毎にある重心が、支持面とどのような関係になっているか

 

が重要であると考えます。

 

このことを念頭に置いておかなければ、仮に教科書に載っている動作の通りに出来るように練習したとしても、見た感じは同じような動作でもなぜか出来ないやりにくいというようになってしまうと思います。

 

ただ正常動作を知っている事自体はとても重要で、いわば先ほど書いた正常動作というのは、この重心移動が一番効率よく起こる動作になります。

そのためできる事ならこの正常の動作に近い方がより「楽」に動けることにはなるのですが、必ずしも正常の動作の通りになる必要はないということです。

立ち上がり動作における重心の移動

ここでまた立ち上がり動作を重心の移動に着目して確認してみましょう。

 

前屈相→体幹が前に倒れる事で、前下方に移動

前進相→さらに前方向に移動する事で、重心の位置を足部に移動

伸展相→足部の上に重心を留めた状態で、重心を上方に移動

 

となります。

 

と言うことは要はこれができていれば、立ち上がり動作は可能と言うことになります。

 

 

ということは極論的になりますが、この重心の移動ができていれば、脊柱が円背していようが、片麻痺があろうが関係なく立ち上がり動作は可能であると思います。

 

 

立ち上がり動作の難易度の設定

立ち上がり動作を「楽」にするには、環境を調整していく必要があります。

立ち上がり動作において必要な環境というと、

  • 座面の高さ
  • 手すり

が一番意識するところであると思います。

 

座面の高さ

座面の高さは高くすると立ちやすくなります。

これは前屈相・前進相に問題がある場合に設定すると比較的立ちやすくなる場合が多いです。逆に伸展相n問題がある場合は、座面の高さを高くしてもあまり立ちやすくならないような印象があります。

理由としては、前屈相・前進相に問題がある場合、臀部にある重心と足部の距離が近くなるため重心の前方移動が容易になるために立ちやすくなります。

 

手すりの位置、種類

手すりは適切な位置にないと、体幹の前傾を上肢が止めてしまうため逆に立ちにくくなる可能性もあります。

イメージとしては、前進相で体幹が前傾した時の胸の位置くらいの高さで支持物があると、伸展相で上肢を効果的に使用できると考えます。

これに関しえて個人差があると思いますので、実際の動作で評価しながら行う必要があります。

 

手すりの種類においては立ち上がり動作のどの時期を補助したいのかによって考えられるといいと思います。

重心の前方移動を助けたい→横手すり
伸展相で上肢が使いやすいようにする→縦手すり
両方の要素が欲しい→L字手すり

 

余談ですが、上肢の使用についての個人的な意見です。
よく上肢は引き込んで体幹後面に力が入りやすくなるから、あまり上肢で引き込まないように指導している人が多いと思います。ですが、個人的には引き込んだ事で体幹が前に移動(重心が前方に移動)していれば、いいんじゃないでしょうか。
普段私が上肢を使用しながら立ち上がり動作するときは、引き込むのではなく、座面を手で押してもらうようにして重心の前方移動を促すように指導しています。

 

立ち上がり動作に対してのアプローチ

立ち上がり動作のどの相に問題があるのかがわかれば、自ずと必要なアプローチも決まっていきます。

今回は立ち上がり動作が困難な時に行うトリガーポイントへのアプローチを一部紹介したいと思います。

トリガーポイントがわからない人はこちらを参考にして見てください

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重心の前方移動に問題がある場合

重心の前方移動を行うため必要な動きとしては、

  • 体幹・骨盤の前傾
  • 股関節の屈曲
  • 下腿の前傾(足関節の背屈)

になると思います。

体幹・骨盤の前傾は、股関節の屈曲により起こります。そのため股関節の屈筋である腸腰筋、足関節の背屈筋である前脛骨筋に問題がある場合が考えられます。骨盤の前傾には腸腰筋と多裂筋の協調的な動きが必要になるとされています。そのため多裂筋に対しても問題がある事が考えられます。拮抗筋からの影響では、大臀筋下腿三頭筋に柔軟性の低下がある事が考えられます

そのためトリガーポイントのリリースを行う場合は、腸腰筋・多裂筋・前脛骨筋・大臀筋・下腿三頭筋あたりを評価していくと良いのではないかと思います。

重心の上方移動に問題がある場合

重心を上方に移動させるためには、

  • 足関節の底屈
  • 膝関節・股関節の伸展
  • 体幹の伸展

が必要になります。

そのため下腿三頭筋や大臀筋・大腿四頭筋・ハムストリングス・脊柱起立筋などが評価していくと良いと思います。

この時の大腿四頭筋は筋出力が低下している場合より、股関節の伸筋が働きにくいことによる過剰使用の方が多い印象です。大腿四頭筋(特に大腿直筋)が過剰使用すると、膝関節は伸展しますが、同時に股関節が屈曲してしまうので、重心を足部に維持できなくなる場合があります。よってこの場合は、大腿四頭筋は活動を抑制させ、代わりに大臀筋やハムストリングスの収縮を促す事で、スムーズに立ち上がりができる事があります。

最後に

立ち上がり動作の詳細に関しては他の方の方がより詳細に説明してくれていますし、書籍などを見た方がより詳しく、理解できると思います。

 

今回はその辺をあえて説明せずに、重心の位置のみを確認することに絞ることで、動作の多様性を考え評価する事ができるのではないかと思います。

 

正常な動作にとらわれず、頭を「楽」にしてその人を評価できるようになりたいと思います。

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