「楽で楽しいリハビリ」がやる気をアップさせる理由

リハビリ関連
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患者さんのやる気をアップさせる為に皆さんどんな工夫をされていますか?

 

やる気がないのを患者さんのせいにしてはプロ失格ですよ!

この記事ではやる気を出してもらう為に必要なポイントを紹介します。

患者さんは常にモチベーションが高いばかりではない?

 

回復期に入院されている患者さんの中には、

 

 

「リハビリをガシガシやってください!」

 

というやる気満々な人が比較的多いとは思います。

 

しかし一方で、

 

「あまり運動はやりたくないんです、、、。」
「痛いのはちょっと、、、。」

 

 

のようにあまりリハビリに意欲的でない方も多いです。

 

 

私は現在、回復期に勤務していますが、以前生活期の病院でも勤務していたことがあります。その時は逆に、リハビリに対しての意欲が高い人の方が珍しいくらいでした。

 

 

そのため患者さんの意欲が低くてリハビリが進みにくいというのは、そんなに珍しくない事だとは思います。

 

 

珍しくはないのですが、、、。

 

 

意欲が低いのを患者さんのせいにしていませんか?

意欲が低いことを理由に介入することを諦めていませんか?

 

 

患者さんの意欲が低いのにはきちんと理由があるものもあります。

 

 

例えば痛みが強くて動きたくないとか、動くとしんどいから嫌とか患者さんによっても様々なものがありますね。

 

では何が原因でそのようなことになっているのか。それを評価しリハビリに応用するために、応用行動分析を知っていると評価・アプローチが少し「楽」になりますよっていうお話です。

 

応用行動分析とは

 

応用行動分析とは、行動分析学という心理学の分野で使われる用語です。

行動分析学とは、

以下引用

行動分析学(こうどうぶんせきがく;Behavior Analysis)とは、バラス・スキナー(Burrhus Frederick Skinner)が新行動主義心理学をさらに改革し、新たに起こした徹底的行動主義(radical behaviorism)に基づく心理学の一体系である。歴史的には、フロイトユングらの精神分析学に対抗する形で発展してきた。

行動分析学とは字義通り人間または動物などの行動を分析する学問である。行動は、生物ができるすべての行動を対象とする。具体的には、独立変数(環境)を操作することで従属変数(行動)がどの程度変化したかを記述することによって、行動の「原理」や「法則」を導き出す。これを実験的行動分析(じっけんてきこうどうぶんせき;Experimental Analysis of Behavior)という。これにより、行動の「予測」と「制御」が可能になる。その成果は、人間や動物のさまざまな問題行動の解決に応用されている。これを応用行動分析(おうようこうどうぶんせき;Applied Behavior Analysis)と呼ぶ。

行動分析学の基本的な「原理」は、レスポンデント条件づけ(別名古典的条件づけまたはパブロフ型条件づけ)とオペラント条件づけ(別名道具的条件づけ)の二つにある。

引用:Wikipedia

 

行動分析学はヒトを含む動物の行動を分析するものに対して、応用行動分析は人の行動に焦点を当てています。

 

応用行動分析とは

実験的行動分析で見出された変数を用いて、人間の行動問題の分析と修正を目的として応用行動分析が誕生し、特に1970年代以降大きく発展してきた。

この応用行動分析という言葉は行動修正学と同義でも使われており、しばしば行動療法におけるオペラント条件づけ療法の適用に関して用いられることがある。

応用行動分析の活用で最も良く知られているのは、発達障害挑戦的行動、特に自閉症スペクトラム障害を持つ人に用いられるものである[1][2]

しかし応用行動分析はこの他に、エイズ予防[3]、自然資源保全[4]、教育[5]、老年医学[6]、健康とエクセサイズ[7]、産業安全[8]、言語習得[9]、ゴミのポイ捨て[10]、医療措置[11]、育児[12]、シートベルト着用[13]、重篤な精神障害[14]、スポーツ[15]、動物園マネジメントやアニマルケア[16]などでも効果を上げている。 アップルMacintoshユーザインタフェース開発[17]にも応用行動分析が活用された。

引用:Wikipedia

 

その人の周囲の環境からどのような行動が起こりどういった結果になったかを分析し、修正していくことを目的としています。

 

その中の評価方法として、ABC分析というものがあります。

 

ABC分析とは

ABC分析とは人の行動をA環境(先行刺激)、B行動、C結果(後続刺激)に分けて、評価していきます。

 

自分たちがどんな環境(A)を提供していて、その結果相手がどのように行動(B)し、どういった結果(C)になったかを分析します。

 

私たちが介入できるのは、環境の提供です。

 

環境とは、リハビリの場面でいうと階段の段差が何段あるかや、自宅の廊下幅が何センチあるのかなど、その人の周囲のことを指すように感じるかもしれませんが、それだけでありません。環境とはその人自身の身体状況や性格などの人間性も含めて環境と捉えた方が良いと思っています。

 

例えば私たちが普段から行っている、関節可動域の拡大運動や筋力増強運動なんかも、相手の身体の環境を変えていくことを目的として行っています。

 

逆にいうと、それ以外のその人の行動や結果に関しては、私たちはほとんど何もできないのではないかと思っています。

 

例えば行動した結果に対して、賞賛をしたり、注意したりと結果に対してその行動を強化させる事や弱化させてしまうようなことはありますが、結果自体を変えることはできませんし、その人が起こした行動を帰ることなんかも無理だと思います。

そのため基本的に私たちが変えることが出来るのは環境だけだと思っています。

 

環境を変える 〜自分場合〜

私の場合はよくトリガーポイントや骨盤・脊柱へのアプローチからその人の環境を変えていくことをしています。

 

例えばその人が膝が痛くて動きたくないと言っている場合、

 

「動かないともっと動けなくなりますよ」

とか

「動かないと筋力が落ちてしまいますよ」

 

など言ったところで、

 

「動くと痛みが増すから動きたくない」

とか

「動いたところで自分のやりたいことなんかこの足じゃできない」

などと思っているのであれば、その人のモチベーションは上がらないと思います。

 

逆に、こちらが相手の環境に対してアプローチした結果、膝が痛くなく動けたとしたら膝が多少痛くても自分のしたいことができた達成感があったとしたら、動くことに対してプラスのイメージをつけることができるので、何も言わなくても勝手にモチベーションは上がります。

 

 

後続刺激で行動を弱化させないために

行動の結果に対して、ネガティブなイメージを与えてしまうと、行動が弱化されていしまいます。

 

行動が弱化してしまう例

痛みが強くてあまり動きたくない人に対して、リハビリを行った。その結果、痛みが強くなってしまった。

この場合、リハビリをするという行動をした結果、痛みを強くしたというネガティブイメージがついてしまうため、リハビリをするという行動が弱化されてしまいます。

そんな人に対して、

 

「痛みが日にち薬なんで動いていたら治ります。だから動きましょう。」

 

と説明したとしても、動くことに対してポジティブなイメージは持ちにくいと思います。

 

確かに動いてていく事で痛みは軽減することはよくありますし、動かないと取れない痛みもあります。しかし、だからと言って結果として行動が弱化されてしまったら、なかなか意欲を上げようにも上がりません

そのため、なるべくネガティブなイメージが入らないようにポジティブなイメージを与えることが重要であると思います。

 

例えば、痛みがある患者さんがリハビリをしたら痛かったけど自分が思うように動けたから楽しかった。

この楽しかったというポジティブな後続刺激がリハビリという行動を強化し、次回以降のリハビリに対してのモチベーションを上げるということになります。

 

成功と失敗の違いとは何か

 

環境によって行動が起こり、その結果がどうなったかを確認していくのですが、要するに失敗したらモチベーションは下がるし、成功したら上がるということです。

ただこの失敗と成功の境界線は人によって違うと思うんです。

 

 

失敗は成功のもと(母)ということわざを聞いたことがあると思います。

失敗は成功のもととは、失敗してもその原因を追究したり、欠点を反省して改善していくことで、かえって成功に近づくことができるということ。

引用:http://kotowaza-allguide.com/si/shippaiseikounomoto.html

失敗してもその反省点を次に活かすことができれば、成功できるよという意味なんですね。

 

じゃあ患者さんのリハビリに対してもどんどん失敗していきましょう!

 

とはならないんですね。

 

この場合、前提として失敗していることが、

「自分のやりたかったこと」

「自分が目標にしていること」

 

というものがあると思います。

 

そのため失敗や成功以前に、やりたいからやっているのでモチベーションが高い状態であると思います。

 

では患者さんや利用者さんはどうでしょうか。

実際にモチベーションが常時高くて、失敗しても何クソ根性で乗り切ってくれる方もおられると思いますが、あまり身体を動かしたくないのに、頑張ってリハビリしたのに失敗したらモチベーションを維持するのは難しいと思います。

失敗と成功の基準はあるのだろうか?

実際失敗と成功というのは何を基準にして決めているのでしょうか?

少し言葉の定義から考えてみたいと思います。

失敗とは

(スル)物事をやりそこなうこと。方法や目的を誤って良い結果が得られないこと。しくじること。「彼を起用したのは失敗だった」「入学試験に失敗する」「失敗作」

引用:https://dictionary.goo.ne.jp/jn/98694/meaning/m0u/

辞書ではこのようになっています。

これに加えて私は、嫌な刺激が入ると言うことが重要であると思っています。

自分の思うようにできなかったという無力感や、動いた時や動いた後の痛み刺激、倦怠感なども含まれるのではないかと思います。

成功とは

成功とは

物事を目的どおりに成し遂げること。「失敗は成功の母」「新規事業が成功をおさめる」「実験に成功する」

物事をうまく成し遂げて、社会的地位や名声などを得ること。「写真家として成功する」

引用:https://dictionary.goo.ne.jp/jn/121441/meaning/m0u/

失敗の時とは反対に、成功とは良い刺激が入ると言うことが入ると思います。
自分の思うように出来た達成感や、動いた時に痛くなかった、疲れなかったなどが含めれると思います。

 

個人の意見ですが、リハビリの場面においては動作自体が出来た、出来ないというのはあまり関係がないかもしれないと思っています。

 

 

だから動作が出来たから成功とは限らないし、出来なかったからといって失敗でもないのではないかなと思います

 

 

応用行動分析の視点で考えると、結果として失敗したらその元になった行動は弱化され、成功したら強化されます。

 

 

ここで重要なのが、良い行動だろうが、悪い行動だろうが成功したら強化されるし、失敗したら弱化されるということです。

私たちは臨床では、この事に注意しなければならないと思っています。

例えば小さい子が、お母さんに気にして欲しいから、その辺のものを散らかしたりしてお母さんを困らせます。お母さんは当然叱りますが、叱った事でこの子供に気が向くので、お母さんからしたら悪いことして失敗と思っているかもしれませんが、その子からしたら成功なので、物を散らかしたりするこ行動が強化されるわけです。

 

 

この時の子供にとっては注意をひくことが目的なので、怒られるとか褒められるということは関係ないんですね。

 

 

リハビリの場面においては、例えば膝の痛みが強くて動きたくない人がリハビリを拒否したとします。その結果膝が痛まなかった場合、リハビリを拒否したことで膝の痛みがなかったという点でその患者さんにとっては成功体験となり、拒否をするという行動が強化されてしまうわけです。

 

 

このようにあまり好ましくない行動であっても成功してしまえば強化されてしまうので、私たちはその患者さん・利用者さんが何を目的にしているのかを考えながら、接していくことが重要であると思います。

 

 

先ほどの患者さんで言えば、膝を痛くしないことが目的なので、リハビリで運動した後に痛くなかったら、その人の目的は達成され成功体験からリハビリをすることや運動をすることが強化されていきます。

最後に

今回は私の考える「楽で楽しいリハビリ」がなぜ必要なのかを心理学の観点から書いてみました。

 

基本的に徒手療法ではトリガーポイントが中心の私ですが、基本的な患者さんとの接し方はこの考えに基づいていると思っています。

 

みなさんもそうだと思いますが、辛いだけのことってしたくないですよね?

 

今いる患者さんは持ちたくて障害を持ったわけではありません。

 

基本的に私たちと一緒で何か見返りがないとモチベーションなんて上がりません。そしてその見返りというのは他人から与えられるものありますし、自分の中から生まれることもあります。

 

自己肯定感などは自分から生まれるものです。よくを言えば患者さん自身からその見返りが生み出されるように接していきたいなと私は思っています。

 

今回の内容を読んでいただけると「モチベーション」に対する考え方が少しは変わるかな?と思いますし、「楽」であるということが決して悪いことではないと思っていただけたら幸いです。

 

参考書籍

 

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