回復期に多い股関節の痛みについてトリガーポイント的に考える

リハビリ関連
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どうも!

脱力系理学療法士のおはぎです!

 

今回は回復期に多い痛みシリーズの股関節の痛みについてです。トリガーポイントの知識と個人的経験をもとに回復期でよく遭遇する股関節の痛みについてセルフケアも踏まえて紹介していきます。

前回までの回復期の痛みシリーズ

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結構多い!?股関節の痛み

股関節の痛みを主訴で訴えている方は結構多い印象です。股関節の痛みを主訴で訴えることの多い代表的な疾患は回復期では、大腿骨頸部骨折変形性股関節症などが疾患としては多いです。また人工骨頭全置換術(THA)観血的骨接合術などの術後の方も継続して痛みが出ている場合もあります。

 

股関節周囲の手術の場合、術式によっては大転子を切っていたり、股関節の外転筋を剥離させていたり、一部切開していたりする場合もあるため、股関節周囲の直接損傷が加わっていることもあるため、痛みとしては一次的なものであることが多いです。

 

 

急性期の患者さんであれば急性炎症の期間にリハビリが介入しているため、基本的には炎症を増強させないように、痛みは服薬などでもコントロールしながら廃用性の筋萎縮や関節可動域制限を作らないように予防していき、状態が回復してきたら徐々に運動療法の割合を増やしていく関わりが基本的なものと思います。

 

 

回復期の場合、術創部の抜糸も終わり、炎症も比較的落ち着いてきた時期に入院されてくる場合が多いです。

最近は術後早期から回復期での積極的リハビリが進められているため、以前と比べるとより急性期に近い患者さんも入院してくる事が増えました。

 

そのため回復期で担当する場合は基本的には急性炎症の期間はすぎている事が多いです。にもかかわらず、股関節の痛みがなかなか改善しない場合もあります。また股関節の疾患以外の方も時として股関節の痛みを訴えることもあります。経験ですが、脳卒中などの中枢疾患で下肢に麻痺がある方は股関節の痛みを訴えることがあります。

 

回復期で作られる股関節の痛み

痛みの改善に時間がかかるならまだいいのですが、

 

 

「回復期に来てから痛みが出だした」

 

 

という場合もあります。

 

これは回復期で担当したスタッフのリハビリがいいとか悪いとかではなく、急性期と比較して回復期はリハビリの時間も長く回数・頻度も多いため運動負荷が以前よりも増えて来た事で起こる場合が多いです。患者さんも「回復期に来たからリハビリ頑張らなきゃ!」と意気込んでる場合も多いので、過度な自主トレをしてしまっていたりする場合もあります。回復期のスタッフとしては、そのような使い過ぎからくる身体の不調はなるべく起こらないように、適切な評価のもと運動負荷量や難易度を選択する必要があります。

 

個人的には過負荷による痛みは回復期では結構多いのではないかと思っています。

 

ちょっとした経験から

私も担当していた患者さんで遭遇した事があります。

その患者さんは歩行に対する意欲がかなり高い方で、リハビリ以外の時間も自主トレーニングで1日2〜3km歩いていました。

(だいたいうちの病棟の廊下が一往復で約100mなので往復回数でいうととんでもないです)

 

私もなるべく自主トレーニングは積極的に実施していただくように促していたのですが、ある日から少し歩く距離が減って来たと患者さんから相談されて理由を尋ねると「足の付け根(股関節)の外側が痛くて少し歩きにくいんです」と言われました。

 

しばらく痛みが続いて、最終的にその方は大腿筋膜張筋のトリガーポイントをリリースした事で疼痛が軽減してまた歩くようになったのですが、最初から動作指導で姿勢や歩容が修正できていたらと思うと申し訳ない気持ちになりました。

 

股関節の痛みは、立ち上がりや歩行動作時に荷重がかけにくくなる他、痛みにより筋出力が低下します。そうなると、下肢の支持性を代償して骨盤を前傾させて股関節の被覆率を上げるなどの代償動作が出現し、腰椎や膝関節にも力学的ストレスが増強してしまうといった悪循環を招きます。

 

患者さんの頑張りを無駄にしないためにも、リハビリスタッフがしっかりと原因となる筋や姿勢・動作パターンを評価し自主トレーニングに反映させられるようにしていきたいと思います。

トリガーポイント、セルフケア紹介

基本的には「痛気持ちい」部分を見つけて、1分程度圧迫をします(その前に痛みが軽減すればそこで終わっていただいても大丈夫と思います)

実施中痛みが強くなった、痺れが出現した場合はすぐに中止してください。

また炎症している部分などに実施する場合も、炎症が悪化する場合があるので控えてください。

心配な場合は医師やリハビリスタッフに相談してから実施するのが良いと思います。

股関節前面の痛み

 

 

上前腸骨棘(ASIS)周囲の痛みであれば、長内転筋か腸骨筋のトリガーポイントの可能性があります。長内転筋のトリガーポイントの場合、膝関節の内側付近にも疼痛が出るのことがあるので膝関節の痛みの有無などで鑑別すると良いと思います。

 

この2つの筋肉は、股関節が屈曲や歩行時の下肢の振りだしがかなり努力性高い状態の場合に見られる事が多いような印象です。

 

腸腰筋の一部である腸骨筋は単純に股関節屈曲の主動作筋なのですが、術後早期の段階や片麻痺の方でまだ立脚後期〜遊脚期にかけて腸腰筋の張力を使った振りだし動作(ストレッチ・ショートニング・サイクル)が不十分の時に過剰に収縮させてしまい。トリガーポイントを形成するのではないかと思います。

 

長内転筋の場合は、先の腸腰筋の機能不全を代償して過剰しているケースや、術後の痛みや変形性関節症の術前の痛みなどからの防御性収縮が続いていたことによる過剰使用からトリガーポイントが形成されるのではないかと思います。

セルフケア

 

長内転筋は大腿部の内側で約半分の位置をテニスボールなどで圧迫しながら「痛気持ちい」場所を探して見てください。

腸骨筋に関しては、ASISのすぐ内側を走っているので、その部位を手で圧迫していきます。

(ここはボールでもいいのですが、細かいところなのでうまく当たらないかもしれません)

 

またうつ伏せになれるかたはそれだけでも腸骨筋に対してストレッチがかけれるので、定期的にとって見ても良いと思います。

 

鼠径部の痛み

鼠径部の痛みは恥骨筋と大内転筋のトリガーポイントである事が多いです。

より広範囲に訴えのある場合は大内転筋の可能性が高いと考えられます。

 

内転筋群の過剰収縮は主に防御性収縮である事が多いような気がしています。

 

恥骨筋は骨盤に力学的ストレスが加わる際に恥骨結合の圧縮が不十分の場合、不安定性を代償して過剰収縮を起こしやすいのではないかと考えられます。

 

また大内転筋は内側のハムストリングスと接しているため、内側ハムストリングスと大内転筋との滑走障害がある場合、過剰収縮が出現しやすいのではないかと思います。

 

セルフケア

 

先に書いた長内転筋の位置よりも少し後面に大内転筋があります。大内転筋は少し後面に付着している筋肉なので、椅子などに座って座面と大腿部でボールを挟むようにしてもいいと思います。

 

恥骨筋は恥骨のすぐ横にあるのでわかりやすかなと思います。この辺りには太い血管や神経も通っているので足の痺れ感や痛みの増強がないかをより慎重に確認しながら行った方が得策です。

基本的にはトリガーポイントがリリースされるとトリガーポイント由来の痛みであれば軽減・消失すると思います。そしてトリガーポイントをリリースする場合は少なからず痛みが出ます。しかし痛ければ良いというわけでもないので必ず状態を確認しながら行なった方が良いと思います。

 

股関節外側の痛み

股関節の外側の痛みは大腿筋膜張筋のトリガーポイントで起こる事が多いと思います。

 

大腿骨の骨折や変形性股関節症の場合、大腿部の外側を切開するので、必然的に術創部周囲の循環が悪くなりやすいので、トリガーポイントを形成しやすくなります。それ以外にも中臀筋の筋力低下や筋出力の低下から、大腿筋膜張筋の過剰使用が起こる事も考えられます。

 

セルフケア

   

大腿筋膜張筋はASISのすぐ下あたりをボールを使って圧迫していきます。手で押さえるんが大変な場合は横向きになって床と挟むような形で行うと楽にできると思います。

最後に

今回は股関節の痛みについてトリガーポイントと個人的な経験から回復期でよく遭遇するポイントをまとめて見ました。

 

個人的には股関節の疾患以外にも中枢疾患(特に比較的年齢が若く)で自主トレーニングにも積極的な方に多い気がしています。

2回目になりますが、患者さんの必死の努力を私たちの知識不足や技術不足で無駄にしてしまわないように、これからも努力していきます。(←自戒も含めて)

 

股関節の疼痛を生じるトリガーポイントは以下に紹介する以外にも様々あります。興味のある方は一度書籍などで調べてみてください。

参考図書

 

 

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