手強い!?防御性収縮に対する介入方法紹介!

徒手療法

今回は筋緊張と心理面との関係についてです。

 

 

筋緊張と心理面とは密接な関係があるということは、みなさんも何と無くわかっているかと思います。

 

 

筋緊張を身体機能面からだけではなく、心理的要素も踏まえながら評価・アプローチしていくことができるとリハビリの幅もぐっと広がるのではないかと思います。

 

 

筋緊張の反射的要素

筋緊張(書籍では筋反応と呼ばれています)には、反射的要素(オペラント反応)の要素と、意識的な要素(レスポンデント反応)の2つの要素が存在しているとされています(レスペラント反応)

 

 

筋緊張の反射的要素は例えば、深部腱反射などが挙げられます。

これは腱に対して殴打刺激などで腱を急速に伸張させることで、伸張された後に筋が元の長さに戻ろうとして、筋が収縮するという反射です。

 

 

よく脳卒中の方や脊髄損傷などで生じる痙性麻痺という状態になると、この深部腱反射が亢進ないし減弱・消失したりします。

 

 

その他の反射的要素として、防御性収縮なども挙げられるかと思います。

 

 

これは「痛み」「動かすことへの恐怖心」などで、過剰に筋を緊張させ関節動きを極端に制限してしまうものです。

 

 

痛みでよくあるのが、変形性関節症などの方で、「もう10年以上痛いのを我慢していた」という具合に、病院の診察も受けずに我慢していたというような人もいます。

 

 

そのような人の場合、無意識のうちに痛みが強くならないように、痛む関節の周囲の筋を緊張させ関節の動きを制限していることが多いです。

 

 

 

動かすことへの恐怖心で多いのは、人工骨頭置換術の術後で脱臼のリスクのある方ですかね。

 

他の術後の方でも比較的早期の場合、

術創部の抜糸が終わっていない方や、ガーゼ保護などしているような創部の治癒が済んでいない方は防御性収縮を過剰に起こしていることが多いように思います。

 

防御性収縮ってそもそも悪いことなのだろうか?

よく術後の患者さんの可動域訓練をするときに、力が入りすぎてて全然関節動かないってことないですか?

 

 

昔僕が経験したことは、変形性膝関節症の術後の方で膝関節の可動域訓練をしていたときでした。

その人は痛みに敏感な方だったので、ちょっと動かしただけで、ものすごい筋緊張が上がってしまう人でした。

 

 

そのような時って、よくリハビリをしているときに見かけることとして、

 

「力抜いてくださいねー」

「筋肉伸ばしてるんで、力抜かないと痛いですよー」

 

 

みたいに声かけしている人結構見ます。(←僕も昔こんな感じでしたし、もしかしたら今でもたまにやってるかも)

 

 

他にはマッサージしてみたり、ストレッチしてみたり、、、

本当に色々やってます。

 

 

そうやって防御性収縮をなんとか抑えようとするんですね。

 

 

ただよく考えて見てください。

 

 

防御性収縮ってそもそも悪いことなんですか?

 

 

防御性収縮とはそもそも、怪我や病気のような身体のどこかに不具合が起こって、

 

その不具合のある部位を守ろうとして生じる緊張ですよね。

 

 

逆に防御性収縮が一切入らなければ、身体に何が不調が起ったとしても守ることができないので、返って身体の痛みが悪化したり、怪我が重症化してしまう可能性すらあります。

 

 

ということは、

防御性収縮が起こっている=損傷した組織を守っている

 

ということなので、安易に緊張が高いから落とすのが正しいという考えではなくなってくると思います。

 

 

防御性収縮は悪くない!、、、適度に起こってくれれば、、、

そう防御性収縮自体は体にとっては正常な反応なので、それ自体は悪者ではないのです。

 

 

ただ、

これも日常的に常に行なっているとやはり悪影響を及ぼすわけです。

 

何事もバランスが大切ですね。

 

 

冒頭でも述べましたが、

筋緊張と心理面には関係性があるため、

 

防御性収縮で過剰に筋緊張が高い状態が続くと心理面にも影響を与え

 

その心理面の影響でさらに筋緊張が高い状態になるといった悪循環が起こってしまいます。

 

 

防御性収縮が起こっている場合、その周囲の組織に損傷がある可能性があります。

しかし、組織の損傷が治癒した後も継続して防御性収縮が生じている場合は、

 

身体を動かすときに支障が出ます

 

 

また筋緊張が高い状態が継続することで、動作面だけではなく、

心理的な緊張も生じるため「恐怖心」なども生じやすくなると言われています。

 

筋緊張が心理面にどのように影響を与えているのかを調べた実験があります。

F・D・マックリンという方が行なった研究では、蛇恐怖の強い人たちを対象にどれだけ近づけるかを筋弛緩訓練を行なった群と何もしなかった群で比較をしました。
筋弛緩訓練は6日間行い、その2週間後に実験を行いました。

結果として、筋弛緩訓練を行なったほうが比較群と比較して蛇に近づくことができたそうです。またその時の自覚的な恐怖心も筋弛緩訓練を行なった群で低く、心拍数なども低い値になったと言われています。

 

 

そのため、余計な防御性収縮(筋緊張)はできるだけ軽減していきたいですね。

 

筋弛緩法の紹介

筋緊張の調整として、様々な「筋弛緩法」と言われるものが存在しています。

今から紹介するのはそのごく一部ですが、いくつか紹介したいと思います。

 

漸進的筋弛緩法

以下引用

漸進的筋弛緩法英語:Progressive muscle relaxation、略称:PMR)とは、内科・精神科医であり生理学者のエドモンド・ジェイコブソン英語版が1920年代初めに開発した「筋肉の緊張状態を制御し観察して学習する技術」である[1]

特定の筋肉の緊張と弛緩を意識的に繰り返し行うことにより身体のリラックスを導く方法としても利用される[2]

方法

目をつむり、筋肉の緊張と弛緩を繰り返し、その状態に意識を向けて、一番弛緩する状態を認識する。その状態を自発的に制御し再現することで筋肉の疲労などを緩和させる。

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/漸進的筋弛緩法

筋緊張は弛緩することはとても自覚しにくく、逆に緊張していることは比較的容易に確認できます。

 

そのため、まず一度筋緊張を意識的に高めて、その後弛緩させることで弛緩した感覚をわかりやすくする方法です。

 

筋緊張と心理面の関係などを検証した実験のほとんどはこの漸進的筋弛緩法が用いられています。

 

野口体操

野口体操とは野口三千三氏が考案したものです。

僕自身は講習会に参加したことはなく、書籍のみで学んでいますが運動に対する考え方などリハビリにおいても参考になる部分が多いです。

野口体操HPより一部抜粋して引用

野口体操は、まるごと全体のからだで、やわらかさ(柔軟性)たくみさ(巧緻性)つよさ(強靭性)といった動きの在り方を、「力を抜く」というベクトルでさぐっていきます。そのキーワードは「重さ」です。何故ならば、生きものは、生活の場を陸に移して以来、重力に適応するように形態・構造・機能を変化させてきました。重力に刃向かうのではなく、重力を味方につけることで、よりしなやかで楽な動き方を身につけていきたいのです。

引用:http://www.noguchi-taisou.jp/noguchitaisou/ntp1.html

野口体操は僕自身も個人的にもかなり影響を受けていて、野口先生の書籍の中にも記載されている

 

 

「次に動けるのは今休んでいる筋肉だけ」

 

という一文は今でも自分の臨床なかの中心的な考えになっています。

 

 

野口先生の体操は「寝にょろ」や「上体ぶら下げ」などが有名かと思いますが、体操の詳細については書籍を一読ください。

 

 

 

 

僕は理学療法士の行うマッサージやリハビリでのリラクゼーションに関しては、肯定的な意見を持っていますが、

 

 

それは野口体操の考えがベースとしてあるからです。

ゆる体操

「ゆる」とは高岡英夫先生が考案した体操のことです。

以下HPより引用

現代人の体はストレスや疲労などでこり、固まってしまっています。体が固まると、痛みや冷え、不快感や不機嫌の原因となったり、新陳代謝が妨げられて老化が進んだり、ひいては病気の原因にもなります。

ゆる体操を行うと、固まったからだを上手にゆるめることができます。すると体のコリや冷えがスッキリ解消し、血液や体液の循環が良くなり、深い呼吸ができるようになります。新陳代謝が活発になりますから、体が元気に、見違えるほど若返ります。心も体もリラックスしてきます。

大学等の研究機関と共同で行った多数の測定実験で、ゆる体操の優れた健康効果が実証されています。

 

高岡先生は「センター」の意識など、身体意識に関して色々な書籍を出しており、そちらの書籍もオススメです。

 

 

徒手で筋緊張を緩和させる方法

先ほど紹介したような「筋弛緩法」で筋緊張を調整できたらそれで十分なんですが、

 

 

中には

「口頭で指示が入りにくい場合」

「痛くてそもそも動くのが大変」

のような場合は、やはり徒手による介入も重要になってきます。

 

 

徒手による介入といっても、ただ闇雲にマッサージしてしまうと場合によっては防御性収縮を増強させてしまう可能性もあるため注意が必要です。

 

 

僕の場合は、まずは安定していることを知覚させることから初めています。

 

 

防御性収縮が過剰になっているときは、

安定を求めて筋が過剰に収縮している状態なので、まずは対象となる部位が安定している状態であるということを知覚していただく必要があります。

 

参考

徒手療法で必要な思いやり
今回は徒手療法を行う上で絶対必要だと思っている思いやりの話です テクニックだけでは患者さんは良くならない テクニックがあれば〜、治療技術があれば〜、 みたいに技術があれば患者さんは良くなると思っていませんか? ...

 

ポジショニングで十分安定した環境が作れたら、

そこから対象となる部位を少し圧迫したり、軽く揺らしたりして、

地面に接地している感覚を入力することで、防御性収縮を緩和することができます。

 

 

ポジショニングや感覚入力でも筋緊張が緩和しにくい場合は、

 

筋組織自体に問題がある場合も考えられるので、

 

筋に対して直接アプローチしていきます。

 

 

 

僕はよくトリガーポイントを中心に考えて筋をリリースしていくので、

 

この場合も筋緊張が高い部位にトリガーポイントが形成されていないかを評価しリリースしていきます。

参考

筋膜リリースを「楽」にするトリガーポイントの知識
筋膜リリースという言葉はかなり一般化しつつあり、リハビリ職種やトレーナー以外の一般の人でも言葉は聞いたことがあるという人が増えてきているように感じます。 今回は筋膜リリースについての紹介です。 一般的に言われてい...

 

リリース方法は一番簡単なものではダイレクトストレッチと呼ばれるような、

局所性圧迫などもありますが、防御性収縮のように「痛みに対する恐怖心」などが強い人の場合は、

ポジショナルリリースなども併用していくと痛みも少なくリリースできるかなと思っています。

 

ポジショナルリリースとは筋が弛緩する位置に関節などを動かして、筋緊張を緩和させていく手技のことです。痛みの強い方には、いきなり筋を圧迫してしまうと防御性収縮を強めてしまい、結果としてリリースも十分できないため、先に全体的な緊張を緩和させてから局所の筋をリリースしていくような感覚で行うとより反応が出やすいと思います。

 

またポジショナルリリースの良いところは、相手も筋緊張が緩和していくことが自覚しやすい点だと思います。やる側も受けて側もあまり努力を要しないので、筋の感覚に集中しやすいからかなと思っています。

 

 

大切なのは筋のリリースをした後に必ず動きを確認してもらって、動かしやすさの変化などを自覚してもらうことだと思います。

 

「ちょっとさっきより楽になったかな」

 

このぐらいの感覚でも良いと思うので、「楽」になった感覚が入った状態で、動くことが重要であると思います。

 

 

「良い感覚で動ける」

 

「楽な感覚で動ける」

 

という情報が入力されることで、

心理的な緊張も緩和され、防御性収縮などの過剰な筋緊張も緩和することができます。

 

 

心理的な要素から筋緊張を考えてみる

徒手による介入も大切ですが、やはり心理的な要素からも考えていく必要があります。

 

 

防御性収縮など筋緊張が高くなっている人は「何かを守ろうとしている」もしくは「何かを怖がっている」ことが多くあります。

 

 

その何かを探していくことが重要になります。

ここで

「怖いのはまだ動作に慣れていないからだ!」

 

となってしまうと、

ただの根性リハビリになってしまうので、

 

恐怖心があるなら、それがなぜ起きているのかを評価する必要があります。

 

僕が経験した例でいうと、人工膝関節全置換術の術後の方で膝関節の可動域訓練をする際になかなか防御性収縮が抜けない人がいました。その人は可動域訓練時だけでなく、歩行訓練などの動作時にも緊張が高く、下肢全体を棒状にして降り出しているような方でした。

 

その人に何が怖いのかを尋ねると、

 

「膝を曲げたら傷口が開くかもしれないから、、、」

 

と教えてくれました。

 

実際術後から結構経過しているので、おそらくそのようなリスクはほとんど無い方でしたが、

術創部を手で覆うようにして、傷口が引っ張られないようにして状態して動かしてみることで防御性収縮が軽減しました。

 

 

その時に「これなら痛く無いわ!」と言っていただき、安心してくれたようでした。

 

 

この方の場合は、術創部の皮膚にかかる伸張ストレスが「傷口が開くかも」という不安感を生じさせ、恐怖心を作り出していました。

実際に傷口が開くかどうかはさておき、その人が恐怖や不安を感じたきっかけに対して、きちりと対応をしていくことが重要であると思います。

 

最後に

防御性収縮など、中枢神経の障害による筋緊張の異常がないにも関わらず、安静時の筋緊張が高い状態になっている方はかなり多いと思います。

 

ですが中枢疾患の方でない場合、「心理的な要素」と一括りにされてしまっていることが多いように感じます。

 

そうなると

心理的な要素

⬇︎

怖がってるだけ

⬇︎

とにかく数こなしてなれさせる!

の、ような

根性論になってしまい、

緊張を無駄にあげてしまうことになりかねません。

 

セラピストは医学的知識を持っているため、逆に患者さんの些細な不安や心配事に対して無頓着になりやすいと感じています。

 

実際はほんの些細なことかもしれませんが、動作や行動に多大な影響を与えているかしれません。まずは患者さんの話をよく聞いてみましょう。

 

そして、

人に触れることが多い、私たちは触ることによる身体的効果と心理的効果の両方からの関わりを大切にしていきたいと思います。

 

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